フィルムのレガシーに別れを告げる年
平成最後の夏。 フィルムメーカーは銀塩の生産規模を大きく下げてもう久しい今。
今年のPhotokinaで遂に発表されたのが、これ。
Lumix S。遂に我らが愛しのm4/3をPanasonicが捨てる日が来たのである。 マウントは予想もあったLeica系のLマウント。
そして何よりも意外だったのはこの陣営にSigmaも加わるとかなんとか。Sigmaが動画に強いカメラを作るとは思えないが、この陣営に加わったことでFoveonによる映像撮影ももっと力を入れてくれりゃ幸いである。
そして今年の目玉はこの分野にC、N共に入ってきたことだろう。気づけばプロユースにもSonyが染み込んできた中でようやくの参戦である。
そういや、ミラーレスの走りであるPanasonicがm4/3を始めたのはいつだろうか...調べると2008年らしい。丁度10年前。 この頃に私はLumix G1を買っている。長らく離れていたカメラと写真に引き戻してくれたのが、このカメラだった。
ミラーレスは登場時から賛否両論だった。EVFはやれ解像度がたりないだの、レイテンシーがあるだの。 確かにそれはその通り。
ただミラーレスのカメラを初めて触れたときに思い出したのは、数十年前に子供の科学の写真講座(そんなコーナーがあったんです)で、確かサンダー平山先生だったかが仰ってた言葉。
確か、一眼レフの優位性は完成形に近い状態をファインダーで確認出来る事にある、みたいな話だったかと思う。
まあ勿論写真家である氏からすればレンズが交換できる、みたいな優位性はレンジファインダのカメラがあるから無関係だ。パパラックスなズレが原理的に起きえなく、かつレンズの特性をファインダで確認出来るというのは非常に理にかなった説明である。
上の説明が僕のミラーレスに対しての理解である。 露光による仕上がりまで完全にファインダで確認出来るミラーレスの優位性は本来一眼レフが志向した理想そのものだと確信したのは言うまでも無い。 レイテンシもEVFのダイナミックレンジの問題もいつかはテクノロジが解決してしまう。これこそがフィルムで一眼レフが為し得なかった事だろうと。
その後僕は一眼レフを買うことは無く、m4/3とEマウント系ばかりを乗り継いで行く事となる。 勿論その理由の一つに、かつての愛機であるミノルタαの延長にあるSonyの αを使いたかったというのもあるが、道具としての正統進化の先を得たかったというのがやはり一番の理由だ。
気付けば写真の楽しさを思い出させてくれたG1を手にしてから10年。
頑なにミラーレスに本腰を入れなかったCanon、Nikonが参入したことで、EF・Fマウント族もミラーレスへのシフトを始めて行くだろう。
デジタルで"レフ"が残ったのは、ただのファインダの性能がデジタルでは追いつかなかったから。でも"レフ"の誕生経緯はフィルムカメラの構造上取り得る方法がそれぐらいしか無かったからだ。
130年近く続いた35mmフィルムの呪縛が、ついにセンササイズぐらいのものになった。
やっと21世紀が来たんじゃないですかね。