MA11追い込みハッカソン(後編)
デザイナーズ.....と。
デザイナーズハッカソン。フリーランスとしては一応OrangeDesignworksとしてデザイナを自称している身として非常に思うところあるイベントだ。
「科学」と「技術」が一緒くたにされているのと同じよう、世間の割とバカにならない数の人たちが「デザイン」と「アート」を区別していない。
そして世間一般的にデザイナーズ、というのはやはりオシャレとかそういうものを指している。(デザイナーズマンションとかね)
デザインという言葉が指し示す範囲は広い。
この言葉の真意をしっかり噛みしめながら挑もうと、おもっていた。逆に言えばその程度の事しか考えずに当日を迎えた。
幸先がいい pic.twitter.com/Ap0PG1OhuE
— Yabu Kiyohide [ow;d] (@takustaqu) 2015, 10月 25
ちなみに行きの山手線はラブライブラッピングだった。幸先がいい。
アイデアを出す。
デザイナとしての僕が何をもって「デザイナーズ」とするか?何をデザインするのか?僕は「プロダクトデザイン」としての完成度を重視する事を頭の片隅に置いて臨んでいた。
それに今回のイベントは所謂「メディアアート」によった作品が主になると、これは割と予想できたし、求められているのもある意味そういうものだ。
僕が提示したのは2つ。
- プロジェクションマッピング魔方陣
- 簡単に床面にプロジェクションマッピングしようやないか。
- 野糞シューマッハ
- 公道で200km/hオーバーなんて出せるわけがない。危ないし捕まる。でもやってみたい。
- 野糞は開放感があって良いだろう。でも社会的に死ぬかも知れないし、職質もきっと受ける。でもやってみたい。
- これを解決するのは、トイレの高度化だ。
言うまでも無いが作りたかったのは後者だ。たとえウンコネタがkirinsan.orgの中でもはや禁止事項に入っているとしても、人はウンコネタに手を出してしまいたくなる物なのだ。
とはいえ全体の中で上位3位に入る得票数を得てしまったプロジェクションマッピング魔方陣は、これまた意外や意外作りたいという人間もあつまってしまい、今回は5人という大所帯でこの企画に望むこととなった。
実製作
ローコストに行こう。
ローコストにはいろんな意味がある。
ハードウェアそのもののコストもあるし、工数もある。学習コストだってある。その全てをローコストで済ませようと思っていた。徹夜はイヤだったしね。教習所あるし(そこか)
さて、なぜ唐突にプロジェクションマッピングを持ち出したか。ここには少々ストーリーがある。
元々CSS 3D Transformによるプロジェクションマッピングの可能性については前々から注目しており、2年ほど前にこれを使ったプロジェクションマッピング案件の提案を受けていた。これについては話を聞いた帰りの電車の中で試作し、その週末にはもうデモに行っていたぐらいのハイペースで出来たのだが、が結局導入コスト的な問題で見送りになってしまった。
その後プロジェクションマッピング以外で受けた某社のエロ案件の提案を受け、変形にCSSによる射影変換を用いるアプローチで挑んだのだが、結局これは別実装が採用された。
閑話休題。
要はDOM要素を変形してゴニョゴニョ自体は散々やってたし、その中で何ができて何ができないかぐらいは把握もしていた。
HTMLである以上デザインの定義はほぼCSSだ。いろいろやりたいならCanvasでやればいい。Socket.ioを使えば他のマシンとの連携も簡単だ。さらにREST APIもサポートしておけば、まず他のアプリケーションとの繋ぎ込みで躓くこともない。
そして実際この通りにつくった。
とりあえず床面に写そう
さすがのWantedlyのオフィス。広く作られた全ての会議室には大きなホワイトボードがあり、非常に議論しやすい場であった。
(Photo taken by Maemoto Satoshi)
僕はといえば、割と好き勝手にやらせて貰え、チームはそれにしっかり答えてくれている感じで非常によかったと感じた。
分担は
- グラフィック作成
- プロジェクション部&サーバー
- iOSクライアント
という感じに分かれた。このあたりの分担はわりと綺麗にいったと思う。
kirinsan.orgの時にも思ったけど、現状僕のスキルセット的にiOS/AndroidのNativeAppにはまったく力になれない。
これは今回もやっぱり反省、このあたりが完全に丸投げになっちゃったのが心苦しいところだった。
とはいえそこ以外のエンジニアリングには全般的に手を入れることが出来ていて、床面へのプロジェクション周り自体は初日の夕暮れ前には概ね出来ていた。
あっさりとプロトタイプ終了、そしてデバッグ
正直作っていた中でのストーリーは、「スムーズに出来ました」の一言だった。先週のスカートで作った通信部はほぼそのままコードが使えたし、iOSのリモート部も大きなトラブル無く欲しいものが作れていた。
素材を作る事にも、「何が出来うるか?」をちゃんと考えて取り組んでくれていたので、出そろった物を組み合わせただけでそれっぽいものが出来てしまった。
我々は2日目の昼頃にはもう実働テストを始めていた。未だかつて無いペースだ。まさに未体験ゾーン。
この余裕の中、Wantedlyのクソオシャレなオフィスの中で魔方陣を展開してみた。
結果から言うと大成功である。床面の反射特性の問題から角度によって見え方が大きく変わるという会場故の問題はあったものの、概ねやりたい事はちゃんと達成出来ており、プロジェクタを非常に高い位置に設置できたことによる投射範囲の大きさが非常に盛り上がりをもたらしてくれた。
でも最大の成果はやはり、自然に魔方陣との自分との組み合わせで遊び始めてくれた事だろう。決めぜりふと共に展開したりね。
結果
(Photo taken by Maemoto Satoshi)
実のところ割と勝利を確信していたのだが、優勝以外の一切の賞が無いというかなりシビアな本ハッカソンで結果としては敗退してしまった。
とはいえ、作品へのコメントは自分の中の勝利への確信があながち間違いではなかった事も同時に示しており、割と清々しい気持ちではあった。
その後はというと、この作品は非常に運が良く、オンライン投票によってMA11 2nd battleの進出が決定した。
この結果についてはまた次のエントリーで。
この2週を振り返って。
kirinsan.org以外のチームはSPAJAM用のSpasiboと去年のTC Hackathonと経験がなかった訳では無かったが、この2週のハッカソンは僕のボッチ参加であったものの僕の企画でそれを中心としたチームが生まれた。
必然的にチーム運営を行うリーダーとなる立ち位置にどちらもなったわけだが、自分自身への反省とチームへの感謝の2つがやはり一番最初に頭に浮かぶ。
どちらのチームでも同じように「手ぶらで帰るつもりはない」という宣言の元で作品制作を行った。
残念ながらジャンケン魔方陣の方は勝ち星を得る事は無かったが、ギリギリのタイミングで行われた2度のハッカソンで作ったこの2作品ともMAの2nd battle進出した事を考えると、成果としては決して悪くないのでは無いかと思う。
僕はハッカソンで食ってる所がある。誇張ではなく、稼ぎのかなりの割合がハッカソンの縁をもってもたらされている。運が良かっただけなのかも知れないが、僕の場合は確実に生き方に影響している。
チームメンバーからはこれをきっかけに色々新しいチャレンジをしてみよう、という声がいろんな形で聞こえてくる。嬉しい限りだ。
決してデキのいいリーダーではなかったと思うが、また何かの機会があれば組んで何かをやろうじゃないか。
MA11の戦績
一部ではもう公表したように、僕の今回のMAの戦績は
- Polarium (Spasibo) -> プレゼンバトル敗退
- Nemimi (kirinsan.org) -> MA11で何らかの賞を獲得(詳細不明)
- パニエ・ウエスト -> MA11 2nd Battle進出(敗退)
- じゃんけん魔方陣(Earth, Wind & Fire) -> MA11 2nd Battle進出(敗退)
となる。MAそのものの総括はTech Crunch Hackathonの後の表彰式に取っておきたい。
次のハッカソンは TechCrunch、そして沖縄パラダイスジャムと続く。
そろそろハッカーを自称してもいいかもしれない。